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岩元 洋介; 小川 達彦
INDC(NDS)-719 (Internet), p.43 - 51, 2016/08
国際原子力機関(IAEA)では国際共同研究活動(CRP)として、放射線損傷断面積データの評価や見直し等を進めている。本CRPの第2回会合で、最も広く使用されている核データ処理コードNJOYにより計算された一次はじき出し原子(PKA)スペクトルとカーマの検証の提言を受けて、核データに関連する技術会合が開催された。われわれは、原子炉等の構造材について、JENDL4.0, ENDF/BVII.1及びTENDL2015の核データライブラリを用いて、粒子輸送計算コードPHITSとNJOYによるPKAスペクトル及びカーマの計算を行った。その結果、ENDF/BVII.1とTENDL2015の多くの核種に対して、PHITSとNJOYの両手法によるPKAスペクトルの差異は小さいことがわかった。また、中性子エネルギー10eV以下において、TENDL2015の多くの核種に対するNJOYを用いた中性子カーマの計算は、生成線エネルギーデータの不具合からカーマを正しく導出しないことがわかった。一方で、線エネルギーをモデルに従い計算できるPHITSは、正しくカーマを計算できることを示した。今後のCRP活動では、PHITSコードを活用して、多くの核種に対するNJOYにより導出された放射線損傷断面積データの検証を実施する。
今野 力
INDC(NDS)-719 (Internet), p.57 - 61, 2016/08
JENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.2, FENDL-3.1bからNJOYで作られた公式のACEファイルに入っている497核種のKERMA係数及びDPA断面積の比較を行い、核データ間でのKERMA係数及びDPA断面積の差の原因を調べた。その結果、大部分の差の原因を以下のように分類することに成功した;(1)核データ起因(反応前後でのエネルギーが保存されていないこと、反応断面積が核データ間で異なっていること、反応のQ値が間違っていること、2次荷電粒子のエネルギー角度データがないこと、2次線スペクトルが核データ間で異なっていること)、(2)NJOYコード起因(Hのmf6mt102のデータを処理する際のNJOYコードのバグ、2次荷電粒子のエネルギー角度データがない場合、運動学的KERMA係数を正しく計算できないこと、2次線データがない場合、運動学的KERMA係数を正しく計算できないこと、NJOYが未対応の格納形式で2次線データが格納されていること)。これらの問題のあるKERMA係数及びDPA断面積を含んでいるACEファイルは修正する必要がある。
今野 力
INDC(NDS)-719 (Internet), p.79 - 81, 2016/08
JEFF-3.2のWの損傷断面積が30MeV以上でENDF/B-VII.1やTENDL-2015より2桁以上大きくなることが放射線損傷に関するIAEA技術会合で報告された。そこでこの問題を調べた。その結果、JEFF-3.2に内蔵されているW(n,t)Ta生成割合が30MeV以上でTENDL-2015より2桁以上大きく、それが30MeV以上での損傷断面積の問題を引き起こしていることがわかった。この問題はJEFF-3.2のW, W, Wでも生じていることも指摘した。JEFF-3.2のタングステンデータの残留核の生成割合を再確認し、間違っているデータを修正する必要がある。